中性子線(ちゅうせいしせん、Neutron beam)とは
中性子の
粒子線のこと。中性子は
電荷を持たないが、
スピンを持つので、中性子線は、これを使った
結晶構造解析、特に磁気構造の解析に有用である。中性子線を物質に当てると、中性子は物質内の
原子の
原子核と衝突を繰り返すうちにエネルギーを失って行く。やがて、周りの原子(分子)の熱運動と熱平衡状態に達し、その熱運動と同程度のエネルギー状態(kBT程度、kBは
ボルツマン定数、Tは
絶対温度)となる。この状態になった中性子のことを、熱中性子と言う。常温での値(=kBTでT = 300
Kとして)は、およそ0.025
eVである。 熱中性子は
ウラン235等の
核燃料との
核分裂反応の断面積が非常に大きく、効率的に核分裂連鎖反応を起こすことができるため、
原子炉の多くは熱中性子による核分裂連鎖反応を利用している(このような原子炉を「熱中性子炉」という。)が、熱中性子は核分裂生成物の崩壊によって生成される
キセノン(Xe)に吸収されやすいことから、熱中性子炉は、一旦、運転を停止するとXeが十分崩壊するまでの間、再起動不能になる場合がある。この現象は
キセノンオーバーライドとして知られている。このように原子炉制御において熱中性子の吸収能力に優れる物質は「毒物質」と呼ばれている。
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