特徴素朴で安定感がある。
楽譜上ハ長調の曲は、上記のように調号を用いないため、読譜が容易である。また、多くの
楽器で運指が容易であるという建前で初心者向けの(大作の)改作にはこの調が用いられている。従って多くの国(先進国はとくに)では演奏初心者のための曲にはこの調が多く用いられている現状がある。(日本国内ではいまだベートーヴェンを中心とした古典派音楽が絶対確固たる地位を得ていることの反映とも言える。)ハ長調から最も遠い長調(遠隔調)は
嬰ヘ長調(または
変ト長調)で、ともに調号が6個もあるが、ハ長調と同じく嬰種(#系)でも変種(♭系)でもない、中性の調性をもっている。ピアノにおいては、すべての指が同一平面上に置かれるハ長調の音階は、支点が全く無いので運指が最も難しい。打鍵のために長い人指し中薬各指を無理に曲げなければならず、脱力を旨とする高速演奏には当然不向きである。ベートーヴェンの作品には本調が比較的多く同名短調も含めると多数に上る。ピアノに管弦楽的集団演奏を志向していた作者を象徴している。どの楽器奏者も公平対等に扱ってこそ合奏の妙が生まれるのであり、読譜が簡単なことに加え特定楽器奏者に有利不利がない外観を備えているからである。しかし後のショパン作中にはハ長調は前奏曲などわずかしかない。ピアノの運指を中心にしている作者の選択結果である。弦楽器の内、ヴァイオリンでは開放弦にハ音が使われていない。イ短調の平行長調として活用するのが演奏実技上無理がない。しかしヴァイオリン以外の弦楽器(ヴィオラ、チェロ等)では最低音にハ音がありハ長調について調整する必要はないことは有利である。管楽器は変ロを中心とするのも多くここでもハ長調演奏には工夫が必要である。こうした人間工学的な配慮をする楽器も歴史的に数多あったが作製者の時代が過ぎると廃されるものもまた多く、その原因については究明されていない。肉体条件には男女個人差がある以上社会聴衆に広く受容されるには作曲者、楽器製作者、演奏者いずれも参加した改良が必要である。
教会旋法の一つであるCを主音とするリディア旋法・ミクソリディア旋法は歴史が古く、1525年にイオニア旋法と名称を変更し、これがハ長調の起源となった。
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